備蓄水の保管用に役立つウォーターサーバーですが、災害時に停電が発生すると注水できない機種も存在します。
またウォーターサーバーは電化製品になるので、災害時の扱い方を知っておくことが大切です。

本記事では災害時に使えるウォーターサーバーの見分け方や、緊急時の対応方法を解説します。
いざという時に慌てずに済むよう、確認しておきましょう。

災害時に使えるウォーターサーバーの見分け方

ウォーターサーバーが災害時に使えるかどうかは、注水方式である「レバー式・コック式」と「ボタン式」を確認するだけで簡単に見分けられます。
それぞれの違いは以下の通りです。

レバー式・コック式 コップでレバーを奥に押し込んで水を出すタイプ
ボタン式 注水ボタンを押して水を出すタイプ

このうち災害時に使えないのはボタン式です。
ボタン式は電気の力で注水するため、停電になると水が出ません。
レバー式・コック式の場合、重力を利用して注水するため、停電時でも使用できます。

ただし電気が使えなくなると、注水方法にかかわらず、内部の水を保冷・保温することはできなくなります。

災害によって停電した場合のウォーターサーバーの使い方

では災害時に停電が起こった場合、どのようにウォーターサーバーを扱えばいいのでしょうか。
災害時は、以下の手順に沿ってウォーターサーバーを使用しましょう。

  1. 電源プラグをコンセントから抜く
  2. 開封済みのボトルを1~2日以内に飲み切る
  3. 必要に応じてサーバー内部の水抜きをする

1.電源プラグをコンセントから抜く

災害時に停電した場合は、まずサーバーの電源プラグをコンセントから抜いてください。
これは復旧後に大量の電流が流れる可能性があるためです。
一気に過度な電流が流れると、ウォーターサーバー本体の故障や電源ケーブルのショートといったトラブルになる危険性があります。

停電時にも使えるウォーターサーバーであっても、電源プラグは必ず抜いておくようにしましょう。

2.開封済みのボトルを1~2日以内に飲み切る

水ボトルをすでに開封している場合は、その水をできるだけ早く使い切ってください。

停電になるとウォーターサーバーの電源が落ち、保冷・保温機能が働かなくなるので、内部の水は常温になってしまいます。
もともとウォーターサーバーの水は水道水と違い塩素消毒されていないため、常温のまま放置すると細菌が繁殖する恐れがあるのです。

停電によってサーバーが機能しないときは、1〜2日を目安に開封済みのボトルの水を飲み切りましょう。

3.必要に応じてサーバー内部の水抜きをする

「どうしても水を飲み切れない」、「常温の水を飲みたくない」という場合は、サーバー内部の水を抜くようにしてください。

サーバー内部の水はボトルから供給されています。
停電になると保冷・保温機能が作動しないため、ボトル内の水と同様、サーバー内部の水にも菌が繁殖しやすくなります。

水抜き方法は以下の通りです。

【水抜きの手順】

  1. 本体裏などにある温水スイッチをオフにする
  2. 内部の温水が冷えきるよう、コンセントを抜いて6時間以上放置する
  3. 冷水コックと温水コックから水が出なくなるまで排水する
  4. 空になったボトルをウォーターサーバーから抜く

内部の温水が冷え切らない状態でも水抜きはできますが、火傷してしまう可能性があります。
なるべく温度が下がってから作業を行うようにしましょう。

災害から復旧後のウォーターサーバーの使い方

災害後に電気や水道が使えるようになった際も、ウォーターサーバーの使い方には注意が必要です。
正しい知識があると通電火災やサーバー故障のリスクを防げます。
復旧後のウォーターサーバーの使い方を確認していきましょう。

  1. 復旧から5分ほど待つ
  2. コンセントに電源プラグを差しスイッチを入れる
  3. 衛生面を考慮して水抜きをする

1.復旧から5分ほど待つ

電気が復旧してからすぐにコンセントをさすのではなく、5分ほど時間を開けてから電源プラグをさすようにしましょう。

これはウォーターサーバーに限らず、すべての電化製品で必要になる対応です。
災害から復旧した後すぐにコンセントを挿してしまうと、通電火災のリスクが高くなることが理由として挙げられます。

2.コンセントに電源プラグを差しスイッチを入れる

復旧から5分以上経過してからコンセントを挿し、電源を入れます。

ウォーターサーバーによっては、コンセントを挿すだけで自動的に復旧するタイプもあります。
自動復旧に対応していない場合は、本体背面にある温水スイッチをオンにして稼働させましょう。
その後サーバー内の保冷・保温機能が作動します。

3.衛生面を考慮して水抜きをする

最後に水抜きをしましょう。
特に1日以上ウォーターサーバーを使用していなかった場合は、内部の水や注ぎ口の衛生面も考えて、コップ2杯ほど水抜きをしてから飲むと安全です。

災害時に利用できるウォーターサーバーを選ぶときのポイント

数あるウォーターサーバーのなかから災害時にも使えるものだと嬉しいですよね。
どのような点に注意して選べばよいのでしょうか。
ここでは選び方のポイントをご紹介します。

コック式・レバー式かどうか

冒頭で説明したように注水方式がコック式・レバー式であれば、停電時でもウォーターサーバーの水を飲めます。
災害時にウォーターサーバーを使いたい場合は、コック式・レバー式の機種を選びましょう。
ただし、電気が使えなくなると保冷・保温機能が無効になるので、開封済みのボトルの水は、なるべく1~2日以内に飲み切るようにしてください。

RO水が選べるかどうか

ウォーターサーバーによっては天然水とRO水が選べます。
そのうちRO水は賞味期限が長いため、災害時の長期保管用の水として最適です。

RO水とは天然水をろ過処理した水のことで、不純物を限りなく取り除かれています。
そのため、目安となる賞味期限に違いがあります。
未開封の天然水は約3〜6ヶ月ですが、RO水であれば1年ほどと言われています。

ボトルが上置きタイプかどうか

ウォーターサーバーのボトルは、設置方法によって「上置きタイプ」と「下置きタイプ」に分かれます。
そのうち災害時に便利なのは上置きタイプです。
上置きタイプの場合、ウォーターサーバーの上部にボトルを設置し、重力を利用して電気を使わずに水を供給できるため、停電時でも心配ありません。

家族構成にあった量の備蓄が確保できるか

災害時に十分な量の水を確保できるかという点も、選び方の重要なポイントです。
水を備蓄する際は、「1人あたり1日3L×家族人数×7日以上」が目安となります。

たとえば、3人家族だと63L分の備蓄水が目安です。
小さいボトルのウォーターサーバーを選んでしまうと、大量のボトルが自宅のスペースを占め、狭く感じるかもしれません。
大量の備蓄水を確保したいときは、1本あたり12L以上のボトルを注文できるウォーターサーバーがおすすめです。

まとめ

電気が使えなくなったときは、まずはウォーターサーバーの電源を切りましょう。
またウォーターサーバーを選ぶ際は、災害時にも使えるタイプのものだと便利です。

コック式・レバー式を採用しているモデルであれば、停電したときでも水を飲めます。
備蓄水用にRO水を選択するほか、十分な量を確保しておくことも大切です。

今回紹介した停電時・復旧時の対応を覚えておき、災害時も慌てずに対応しましょう。